自閉スペクトラム症

コミュニケーション障害と限局した興味関心・常同的な行動を特徴とした神経発達症です。

状況や雰囲気にあった発言が苦手、立場によって言葉遣いや態度を変えられない、話の文脈や行間が読めない、ユーモアや皮肉が伝わらない、視線・表情・身振りなどの非言語コミュニケーションが苦手といったコミュニケーションの障害、孤独を好んだり、一方的に人と関わる、集団場面が苦手、恥を恐れずに自分のプライバシーを躊躇いなく話してしまうといった社会性の障害が1つの大きな症状です。

もう1つの大きな症状としては限局したパターン化された興味と行動、こだわりが挙げられます。幼少期は電車や恐竜、昆虫、魚といった特定の分野に関して興味が限局していて熱中する、変化を嫌い、特定の行動に対する強いこだわりを示す(保育園への通り道を変えただけ、小学校に行くために家を出る時間が少し変わっただけでかんしゃくを起こす、ルールや約束が変わることで混乱しやすい、ルールを守ることにこだわり相手にもそれを要求してトラブルになる)といったことが起こりやすいとされます。

周辺症状としては、感覚に過度に敏感であったり、鈍感であったりする(すぐに痛がる、洋服のタグを嫌がったり、特定の素材の洋服しか着られない、大きな音が苦手)、一度やったことは上手に出来るけれども一度もやったことがないことはどうやったら良いか分からず混乱しやすい、球技などの協調運動が苦手である、情報処理能力に偏りがある(多くの場合視覚情報が優位になりやすい)といったことが挙げられます。また注意欠如多動症などの他の神経発達症を合併しやすいとされます。

診断には幼少期の様子などの生活歴・現病歴の聴取に加えてWAIS/WISCといった知的水準を見るような心理検査、PARS-TRやAQなどの心理検査を行うことがあります。

かんしゃく、寝付きの悪さなどの随伴する症状に対して薬物治療を行うことはありますが、コミュニケーションの障害やこだわりの強さなどに対して効果的とされる薬剤はありません。このため、お子さんの場合には、ご本人の発達支援に繋がるように療育の施設につなげたり、学校や家庭で本人がパニックを起こしにくくするような関わり方を検討したりします。大人の方の場合にはコミュニケーション障害そのもので受診される場合よりは、コミュニケーション障害の結果として起きる職場での不適応に伴って生じる適応障害の症状(眠れない、朝起きられないなど)を主訴に来院されることが多いため、職場に対して環境調整を依頼したり、ご本人の得意とする能力が発揮出来るような仕事に転換してもらえないか職場と連携することがあります。

注意欠如多動症(ADHD)

不注意、多動性・衝動性を主徴とした神経発達症です。

お子さんの場合には、忘れ物や無くし物が多い、気が付くと授業中上の空になっている、気が散りやすいといった不注意症状、お友達が話しているのにかぶせて話し始めて話題をとってしまう、授業中離席してしまう、順番待ちが苦手でイライラしやすい、授業中手を挙げずに答えてしまうといった多動・衝動性の症状が見られます。大人の方の場合は多動性はお子さんの場合に比べて目立たなくなっていることが多いですが、仕事上ミスが多いといった不注意症状や不用意な発言をして上司や同僚とトラブルを起こしてしまう、職場で感情的に行動してしまうといった形で衝動性の症状が社会的な障害に繋がって医療機関に受診されることが多いです。

また、興味のあるものに対して過集中してしまう、逆に興味のないものは面倒くさがって後回しにしたり、やろうとしない、時間のマネジメントが難しく、締め切りや約束を守れない、物事の優先順位がつけられない、聴覚情報の処理が苦手で指示を1回で聞き取れなかったり、モレやヌケが多いといったこともよくみられます。

診断には幼少期の様子などの生活歴・現病歴の聴取に加えてWAIS/WISCといった知的水準を見るような心理検査、CAARS /CONNERSなどの心理検査を行うことがあります。

授業中離席をしてしまったり、友達に手を出してしまう、宿題などをやりたがろうとしないといった理由で叱られることが少なくなく、ご本人の自尊感情が傷つきやすい傾向があります。また、うつ病や不安障害、薬物やアルコールの依存などに繋がることも多いとされます。早期の介入でそういった併存疾患のリスクを減らすことが出来るとも言われますので、上記のような症状がみられる場合には医療機関に相談するようにしてみましょう。

治療としては薬物治療と環境調整が挙げられます。中枢神経刺激薬に分類されるコンサータ、ビバンセ(小児のみ)、非中枢神経刺激薬に分類されるストラテラ、インチュニブが日本で処方できる薬剤としては挙げられます。コンサータ、ビバンセは乱用のリスクがあるとされ、処方や流通管理が厳格に義務づけられています。ADHD適正流通管理システムに登録していない医師はコンサータやビバンセを処方することが出来ません。なお、コンサータ、ビバンセは当院では処方可能ですが、医師によっては処方出来ませんので、転院などでコンサータ、ビバンセの処方を希望される際は予め予約の際その旨問診票に記載するようにお願いします。

お子さんの場合には環境調整としては注意が逸れにくくするような環境を作る(先生の前で授業を受けるようにする、前方の席に座るようにしてお友達が視界に入ることで注意が逸れにくくするのを防ぐ)、プリント配りなどの役割を担ってもらうことで授業中動ける場面を作るといったことが挙げられるでしょう。またアラームを使ったりすることで過集中を防ぐ、面倒なことを先にする、面倒なことを分解して取り組みやすくするといったスキルを獲得してもらうことも大切になるでしょう。

大人の方の場合には、仕事上でミスを防ぐためにチェックリストを作る、口頭ではなくメールなど視覚で分かるような形で指示をもらうようにするといったことが重要になることが多いでしょう。

学習障害

知的な水準には大きな問題はないものの、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」「推論する」といった学習に必要な基礎的な能力がうまく獲得出来ない状態を指します。

特に読むこと、書くことは、学校生活でどの場面でも必要になるため、読み、書きに障害があると、学校生活全般がしんどくなることが多くなってしまい、学校への行きしぶりや不登校などにつながることが少なくありません。

適切な支援を受けることで、学習上の困難を軽減できます。ご本人にとって学校生活が実り豊かな体験となるように早期に適切な介入をして、学習環境を整えてあげましょう。

読字障害(読むことが難しい)

文章を読むことが苦手なため、文章の意味が理解しづらくなります。また、お子さんによっては文節ごとに区切って読んでしまうため、音読がたどたどしくなってしまうといったことがあります。国語以外の他の教科でも教科書を読んで意味を理解することが難しくなりやすいとされます。

読みやすくするように鉛筆や定規をあてて文章を読む工夫をされるお子さんもおられます。また、学校の協力が必要になってくることもありますが、タブレットを利用することでフォントをご本人にとって読みやすいフォントに変換するといった工夫もあります。

音読をすることでご本人が不快な体験になってしまうという場合には、授業中音読をしないですむように配慮を求めることもありうるでしょう。

書字障害(書くことが難しい)

字を書くことが難しい状態です。字を書くことが難しいということが理解されないケースも少なくなく、ご本人の努力不足が原因とされて、延々とひらがな、カタカナ、漢字の練習をさせられてしまうといったことが多々あります。

文字が書けないといわれてもイメージがつきにくいかも知れませんが、ミッキーマウスやピカチュウの絵を描いてと言われて、描けない人がいるイメージはつくのではないでしょうか。文字の形を認識しづらい、文字の形を認識していても、協調運動が難しく、手がその文字の形をなぞれない、書けないといったことが原因になることがあります。

大きめのマス目のノートを使ったり、補助線のあるノートを使うことで書きやすくなるお子さんもおられます。漢字の宿題は比較的量が多い場合も少なくありませんが、書字障害のお子さんの場合には、その書く分量を調整してもらうことも検討して良いかも知れません。

漢字とその意味、音読の音のつながりを理解してもらいつつ、ゆっくり丁寧に書く練習を繰り返すことで少しずつ書くことに慣れていくことが望ましいでしょう。

また、社会に出た場合にはパソコンで文字を打つことのほうが多いため、早めにタブレットやパソコンなどで文字を書くことに慣れていくことを検討しても良いでしょう。テストなどではまだ難しいと思われますが、パソコンで文字を打てていれば必ずしも書けなくてもそんなに将来に困らないよとご家庭で声かけをしてあげられれば、ご本人の不安感を軽減することが出来るでしょう。

算数障害(計算することが難しい)

算数や計算することが難しい状態です。数の概念を扱う、理解することが難しく、「2と5を足したらいくつになる?」といった問題に答えられないといったことが起こります。九九自体は呪文のように暗唱出来ても、それを計算に使えないことがあるでしょう。

日常生活でスーパーでリンゴを昨日2個買って、今日は5個買った、といった体験が概念の理解につながることがあるため、日常生活での数字にまつわる体験に着目して、理解してもらえるよう、声かけしてもらうと良いでしょう。お小遣いを渡して、駄菓子屋さんなどでそのお小遣いの中でお金を使う練習をすることで数の概念の理解を進めていくのも良いのではないでしょうか。

医療法人社団順風会 上尾の森診療所
院長
安間 尚徳
診療内容
精神科・心療内科
診療時間 日祝
9:00~12:00 安間 安間
山邊
飯野
安間
小橋
安間
小橋
安間 (初診)
佐藤
横山
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14:00~17:00 安間 安間
山邊
飯野
小橋 安間
中川

【休診日】金曜日午後・土曜日午後、日曜日、祝日

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  • 自立支援医療の受給者票は毎回ご提示下さい。

予約時間はおおよその目安です。どうしても予約時間より遅れてしまうことがあります。
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